mochikoAsTechのdig日記

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リモートと出社と時計の時刻合わせ

最初に書いておくと、これは特定の会社や制度を批判、あるいは揶揄するような話ではありません。オフィスへの出社に関して、自分の中で考え方の整理をするために書いた文章です。

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コロナ禍以降、ずっとフルリモートで仕事をしてきた。オフィスに行くのは「行く用事」があるときだけなので、せいぜい半年に1回とか、四半期に1回とか。逆に必要があれば連日行くこともある、という感じ。

フルリモートということはおうちがオフィスになるので、快適に働けるようにデスクや会議用個室も整備した。

私個人としては「大きく変える」という意志決定が不得手な社会において、コロナ禍で否応なしに「家で働ける人は家で働こう。四の五の言わずに先ずはそれでやれる方法を考えよう」という方向に舵を切ることになったのはいいことだったと思っている。

ただたまに出社して、今までカメラ越しにしか会ったことのなかった人と顔を合わせたり、個人的な話を聞いたり話したりすると、以後その人とちょっと仕事がしやすくなるなーという感覚はあった。

何でもない飲み会

なので去年くらいから、でかい単位の「部署」の中で、私もあんまり喋ったことないし、その人たちもお互いにあんまり面識なさそう……というような人を3人ピックアップして、わたしを入れて4人でなんでもない食事会を開催する、ということをはじめた。

もちろん誘うときは非常に気を使って「これは任意参加で、何の強制力もないし、参加しなくても何の不利益もない。私があなたとご飯を食べながらじっくり話してみたいだけです。若手の飲食代は私が出すけど、大人のみなさんは自腹です。気が向かない場合は遠慮なく断ってください」と伝えた上で、相手が「行きたい!!」というテンションのときだけ参加してもらう形で。

やってみると色んな人と話せてすごく楽しいし、誘った相手にも喜ばれる一方、なけなしのコミュニケーション能力を振り絞っているので毎回カッスカスになって帰ってくる。なんなら帰りの電車は方角が同じでもタイミングずらして別々に帰らせてもらうくらい疲れる。

でも、今まであまり話したことのなかった人と対面で会って話すと、やっぱり以後話しかけすくなるし、なんとなく「こういう人だよね」という解像度が上がる気がする。なので「いつか話してみたい人」がいたら、自分から話しかけないと機会は来ないしなーと思って頑張っている。

対面で会って話すことの効能

こんなふうに、業務でもないのに食事会を定期開催するくらいには「対面で会って話す」ことの効能を認めているんだけど、だからといって週1とか週3とかでオフィスに出社して、もっと対面で仕事をすべきだと思っているかというとそんなことは全然ない。

この「対面で会って話すといいことある。でも週1みたいな頻度で出社すべきとは思わない」を自分でも矛盾なく説明できなくてうーんうーんと思っていたところ、いい例え話に出会った。

なるほど時刻合わせ。

みんなで会うことは時計の時刻合わせ

私たちは各々が腕時計をしていて、それを基準に仕事をしている、とする。

でも時計はちょっとずつずれるので、段々とチームの中で「Aさんは15分早い」「Bさんは2時間遅れてる」「Cさんは半日も早い」みたいな状態になっていく。ただみんなが自分の時計を見て動いている中で、お互いの時間がずれてることにはなかなか気付けないので、時計がずれてることに起因してちょっとずつ「なんか話が噛み合わないな……」という状態になっていく。

なので、たまにみんなで集まって時計の時刻合わせをする必要がある。みんなで腕を出して時刻合わせをし、時計の竜頭を同時にカチッと戻すと、またしばらくはリモートでも同じ時刻、同じ認識で話ができる。

でもしばらくするとまたちょっとずつちょっとずつずれていくので、数か月に1回とか、半年に1回とかの頻度で集まって、みんなで時刻合わせをする。そうすると、またしばらくは仕事がしやすくなる。

この「みんなで集まって時刻合わせをする」ことが大事なので、たとえば各自がばらばらの曜日に出社したり、出社しても顔を合わせずに別々のフロアで働いていたりすると、折角オフィスに出社しても時刻合わせの効果は得られない。

そしてこの理屈で行くと、時計のずれは本当に僅かずつなので、週1とか週3みたいなペースで時刻合わせをする必要はない。

なるほど、だから私は「対面で会って話すといいことある。でも週1みたいな頻度で出社すべきとは思わない」と感じていたのか、と感覚を言葉にできてすっきりした。

コロナ禍の最初期の頃、色んな人が「最初はフルリモートでも信頼貯金を切り崩してなんとかやれてたけど、半年以上会わないとさすがにちょっとしんどくなってきた」と言っていたのも、同じようなことなのかもしれない。

出社頻度とオードリータンの提言

そう考えると、社会全体で出社回帰の方向になっていくとしても、いきなり「週1回か月1回か」みたいな検討ではなく、まずは3ヶ月とか半年に一度、絶対に全員が同じ場所に集まって顔を合わせて会話する日を作る、ならいいのになーと思う。

DXについてオードリー・タン氏へのQ&A」でも、タン氏がこう述べている。

タン氏:私は2008年からリモートワークを始めました。当時は、シリコンバレーを拠点にする会社・ソーシャルテキストで働いていたのですが、この会社のチームは五つの地域に分かれていたので、メンバーもいつでも会社へ行けるわけではありませんでした。そのため、必ず半年に一回は皆で集まるイベントをしていました。半年以上経つと相手の印象が残りづらくなってしまうので、長くても半年に一回ぐらいは会う場を設けた方がいいかなと思います。 

あるいは一緒に働く人みんなが「時計はずれるものだ」という認識を持って、オンライン上で積極的に自分の時計の時刻を開示していくようにしたり、小まめにZoomで話して完璧でなくても時刻を大体揃えるようにすれば、少なくとも大幅に時刻がずれたままの働きづらい状態で働くことは避けられるのかなと思う。

こうやってたまに時刻合わせをしながら、オフィスで働きたい人はオフィスに行くし、リモートで働きたい人はリモートで働く、という働き方が社会全体で継続できるといいのにね。